• 漆器のお手入れ 

 

漆器は、急激な温度変化や過度の乾燥、高温、直射日光(紫外線)が苦手です。

いくつかの点に注意していただければ、他の器とそれほど違いはありません。

 

漆器の洗い方

基本的には柔らかいスポンジと台所用中性洗剤で洗ってください。

クレンザーやタワシの使用は漆の表面を傷つけてしまいます。使用しないでください。

また、ガラスの器や陶器、金属製品と一緒に洗うと漆器に傷がつくことがあるので、別々に洗ってください。漆器に食品がにこびりついている場合は、水かお湯に10分程つけ置いてふやかします。すると、スポンジで軽くこすり洗いするだけで汚れが取れます。

お湯ですすいだ後は自然乾燥をさせるのではなく、冷たくなる前に柔らかな乾いた布巾で拭きます。 濡れたまま長時間放置するのは漆器にとってよくありません。

また、食洗機のご使用も避けてください。

 

保管の仕方

漆器は、紫外線に弱いため直射日光を避けましょう。

陶器などの器と重ねたりすると漆の表面に傷をつけてしまう場合があります。

漆器は漆器同士で重ねるようにします。

漆器にとって高温と乾燥は大敵なので、暖房や冷房が直接当たる場所は避けてください。

お正月用の重箱や酒器など、たまにしか使用しないものは柔らかい布か薄紙で包み、できれば箱に入れて収納棚の下の位置に保管してください。

 


ご使用にあたって

 

においが気になるとき

新しい漆器は通常、箱に入れて販売されているため、漆のにおいが気になる場合があります。

このにおいはご使用とともに少しずつ消えていきます。 気になる場合は、米櫃に漆器を入れたり、米のとぎ汁に少量のお酢を加え、柔らかい布につけて拭き、その後、ぬるま湯で洗うと早くにおいが取れます。

 

変色の防止

火からおろしたばかりのグツグツした汁物などを入れると、白く変色することがあります。

一度変色してしまうと元に戻りません。使用する前に漆器を熱めの湯に通せば、急激な温度変化を避けられ、変色を防ぐことができます。

木製漆器は熱の伝導率が低いため、暖かい料理を入れても、「熱くて器が手に持てない

ということはありません。冷たいもの、暖かいものなどは温度変化しにくい利点もあります。

 

その他の注意

直火、電子レンジ、オーブンでの使用は対応致しません。急激な温度変化や過度の乾燥のため、漆器がゆがんだり、ひびが入ったりします。

冷蔵庫での保存は、一時的なものであれば問題はありませんが、冷蔵庫のなかは乾燥しますので、長期間の保存は適しません。

 

漆器は普段使いが一番

 

ライフスタイルの変化に合わせ、漆器の使い方も変わっていくのが自然と考えます。

お手持ちの漆器を眠らせたままにせず、今一度手に取ってあなたなりの用途でお使いいただければと思います。

近年は漆の抗菌作用も実証されており、普段の食事から衛生面に配慮される方に漆器は最適です。

 

 

 

 

 

漆の耐久性

漆は一度固まると塩酸や硫酸でも溶けないくらい強固で、金属をもくっつけてしまう高い接着力で金継ぎにも使われます。漆で塗装された漆器は酸のほかアルカリ、アルコール、塩分にも強く、耐久性に優れていることが特徴です。

また、漆を塗り重ねるほどに頑丈になるほか、万が一欠けてしまっても塗り直して修理することもでき長く使用できます。

・漆の耐水性

漆は固まると、水をはじく皮膜を作ります。漆器といえば木材を素材とした汁椀なども定番ですが、汁物も安心して入れることができます。

 

木製漆器の断熱性

漆は熱を伝えにくい性質を持っています。漆器の器に熱いものを入れても無理なく持つことができるほか、あたたかいものはあたたかいまま、冷たいものは冷たいまま温度をキープできるのも魅力です。

 

漆の抗菌作用

漆の抗菌作用については古くから多くの言い伝えがありますが、近年さまざまな試験検証で漆の抗菌作用が科学的に実証されています。たとえば、京都漆器工芸協同組合が行なった調査では、漆コーティングしたプラスチックに大腸菌やMRSA(黄色ブドウ球菌)、サルモネラ、腸炎ビブリオを放置したところ、24時間後にはゼロになったという調査結果が得られました。

子供さんやご年配の方が使う食器など、衛生面に気をつけたいときなどにもお使い下さい。

 

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